就職活動でのエピソード
平沢勝栄氏が学生の頃、就職活動で唯一、不合格となったものがある。
それは国鉄(現JR)だった。当時の国鉄は、採用が内定した学生に、大学四年の四月にさかのぼって月額八千円を支給していた。それが学生には大変魅力だった。それで平沢勝栄氏も受けたのだが、不合格となった。何故、落ちたのか自分でも分からなかった。
法学部からは何人かの友人が国鉄に合格した。しかし、その後、国鉄は分割・民営化されていく。その激動の中で、地方に飛ばされ悲哀をかこった者、辞めてパリに行きラーメン屋を開いて成功した者と、人生模様は様々な形を描いていく。もし国鉄に合格していたら間違いなく入っていただろう、と平沢勝栄氏は言う。そうなっていれば、その後の人生模様は今とはまったく異なった形になっていたに違いない。
平沢勝栄は安倍晋三の政治姿勢を高く買っている
平沢勝栄氏は言う。
政治家が二世、三世だからダメということにはならないと思う。
一世、二世のいいところを受け継いで、さらにそれを乗り越えるような大きな器になる人もいるはずだからだ。
だけれども二世、三世には逆の人が多いんだな。そういおう人は実際のところ、ひとことで言えば、親の遺産だけで選挙に勝ってくる。だから人生を軽く見てしまう。
英国のサッチャー元首相は「政治家は厳しい選挙に勝ってこなければだめだ」と言っている。そういう意味で二世、三世議員の弱みは、厳しい選挙をやっていないという点にある」「安部晋三さんも厳しい選挙はやっていない。毎回、楽勝選挙だ。その中にあって、あれだけ厳しく、きちんとした政治哲学やビジョン、国家観を持っている人は珍しい。曽我綾子さんは「政治家にとって一番大事なのは愛国心だ」と言っているが、晋三さんは間違いなく愛国心を持った政治家の一人だ。
「大体、政治家というものは選挙とカネのことしか考えていない。青木幹雄参院幹事長も「政治家の頭の中は八割が選挙とカネのことだ」と言っている。しかし、晋三さんにはそんなところが全然ない。北朝鮮による拉致問題などは元々、票にもカネにもならない問題だ。しかし今、拉致被害者の家族だちが晋三さんに全幅の信頼を置いているのは、晋三さんが昔から拉致問題に取り組んできたからだ。内閣官房長官になってから取り組み始めたわけではない。少なくとも小泉純一郎首相や福田康夫官房長官は立場上、取り組んでいるだけのことだ」
「晋三さんが拉致問題に取り組むきっかけは1990年に、被害者の一人、有本恵子さんの家族が安部晋太郎・自民党幹事長(当時)のところを訪れた時だ。応対した晋三さんは「国家の主権を揺るがす大変な事件だ。国家として絶対に譲れない」と考え、国会で何度も質問したりしてきた。国民が猛反対する中で日米安保改定をやり遂げた祖父の岸信介元首相、安部外交という実績を残した父親の晋太郎元外相。晋三さんは、その両方のいいところをDNAで受け継いでいるのだと思う。だからこそ拉致問題は政治家として取り組まなければならない問題だ、と思ったのだろう」