外事警察のエキスパートに
1969年8月、平沢勝栄氏は警察庁に。警察庁では外事課の係長として二年間勤務した。
外事警察の仕事は簡単に言えば、日本国内にいる外国人スパイや密入国者を捕まえることだ。諸外国では情報機関の存在が確立しているが、日本にはそれに匹敵するものがない。そこで外事警察がそれを全部担当している。当時は東西冷戦時代である。最大のターゲットは旧ソ連で、その次が旧ソ連以外の共産主義国家である中国や北朝鮮だった。
外事課では、旧ソ連のKGBやGRUの手口などを研究。さらに在日大使館に勤務しているアメリカ、イギリス、フランス、西ドイツなどの情報機関員と週一回、密かに都内のホテルなどで会って情報・意見交換をしたり、連絡を取り合ったりした。
このように警察官としての平沢勝栄氏の本当の出発点は「外事警察」となったわけだ。このことは、その後の平沢の警察官としてのキャリアを決定づけていく。また、この頃から北朝鮮問題に強い関心を持ち始め、そのことがのちに北朝鮮による日本人拉致問題に深く関わるきっかけとなっていく。