イギリス大使館に赴任
警察庁で日本赤軍に対する捜査などに携わった後、平沢勝栄氏は1980年4月、ロンドンの在イギリス大使館に赴任した。この時点から三年間、ロンドンで生活することになる。
このロンドンで平沢勝栄氏は、日本から訪れた政、官、財各界の人たちと知り合いになる。小泉純一郎もロンドンを訪れ、平沢勝栄氏の世話になった。ロンドン時代にできた人脈が、のちに選挙に出たときに大いに役立ったことは言うまでもない。
例えば、のちに平沢勝栄氏の政界進出を強力に支援することになる元副総理・元官房長官の後藤田正晴も、ロンドンで知り合った人たちの中の一人だ。
平沢と後藤田は同じ警察官でありながら、三十一歳も年齢が離れていたこともあり、警察庁で一緒に仕事をしたことはなかった。
平沢勝栄氏が在イギリス日本大使館で一等書記官を務めていた時期、すでに衆院議員(三期目)になっていた後藤田正晴が、夫人と共にロンドンを訪れた。警察庁の後輩ということで平沢が応接した。後藤田夫妻は二、三日を使って、ロンドンやその近郊などを視察した。平沢夫妻が同行し、道すがらイギリスの政治、経済、社会、国にんの生活ぶりなどを解説した。もう二十年以上も前のことである。しかし、後藤田はその出会いをよく覚えていて、「平沢君は(福島なまり)日本語より英語のほうがはっきりしていたな。その時は仲々、変わった奴がおるな、という印象を持ったですね」と述懐している。平沢勝栄氏が内閣官房長官・後藤田の秘書に就任するのは、ロンドンでの出会いからほぼ五年後のことである。