緊張の皇宮警察官時代
皇宮警察は、皇族や皇后などを訪れる国賓・公賓の警備と護衛を専門に担当する組織である。人員は約千人。
着任してすぐに昭和天皇と皇后が初めてアメリカを訪問されることになり、平沢勝栄氏は七人の護衛官の一人として随行を命じられた。
平沢勝栄氏らはアメリカ側と調整を含めて警護に神経をすり減らした。太平洋戦争の記憶がまだアメリカ人に残っており、何か突発的な事件が起きても不思議ではない状況だった。しかし、アメリカ人は両陛下を温かく迎え、結果的にひとつの事故も起きずに無事に終わった。シークレット・サービスなどアメリカの治安当局が、でき得る限りの態勢をとってくれたことも大きかった。
それでも期間中、銃器不法所持者の検挙が四件、不審者の発見情報が九件あり、平沢勝栄氏らは冷や汗の連続だった。